The Origin ~これが三脚の原点~

The Origin

 HUSKY~ハスキー三脚~は、アメリカのクイックセット社によって第二次世界大戦前には既に原形が完成していました。飛行機の機体内部で電線を引き回すために使われていたアルミパイプを利用して三脚を作ったのが始まりといわれています。戦後にアメリカ軍が日本へ持ち込んだ三脚が徐々に広がり、昭和38年(1963年)にクイックセット社と、トヨビューで知られるトヨ商事株式会社が代理店契約をしたことで正式に日本デビューとなりました。

 以来60年以上にわたって、いわゆるフルモデルチェンジは一度もしていません。まさに三脚の原点です。ただし、トヨ商事に修理に入ってきた三脚の状態を精査して、部品の摩耗が進んでいれば同じ形のまま材質を見直したり、メッキの強度が足りなければ厚みをミクロン単位で変更したり、細かなネジの長さや太さを再検討したりと、ほとんどの部品の互換性を保ったまま小改良を重ね、鍛え続けられてきました。

 事実いまでも、20年前、30年前に生産されたHUSKYも毎日のように修理に入ってきますが、基本となる部品のサイズは変わっていませんから、それら全ての三脚が現行の新品部品を使用して問題なく修理ができてしまいます。全ての工業製品を見渡しても、こんなに長期にわたって、こんな成長の仕方をしてきた製品はなかなか見当たりません。この伝統を受け継ぎ、全てのユーザーに安心して使い続けていただけるよう、そして次の世代にも継承していけるよう、HUSKYは変わらないまま変わり続けています。

100% Made in Japan ~完全日本製のこだわり~

100% Made in Japan

 HUSKYの製造はクイックセット社からトヨ商事に引き継がれ、2022年よりスタジオJinに全面的に移行しています。国外の安価な部品を使用せず、最適な材質を使用して加工精度を追求し、ネジ1本に至るまで全ての部品を日本国内で製造しています。当然組み立ても国内工場にこだわって品質管理も徹底しています。99.9%ではなく100%と言い切れるのは、全ての部品がどこの工場で、誰が製造して仕上げているかを完全に把握できているからです。グローバル化に逆行していると言われても、唯一となってしまった100%日本製の三脚を頑なに守っていきたいと思っています。

 国内生産と言いましたが、具体的には多くの部品を新潟県・燕市の工場で製造し、最終的な組み立てまで行っています。「燕三条」「三条燕」とひとくくりにされることも多い街ですが、実際は燕市と三条市は別々の市で、燕市は刃物、金物、洋食器から半導体、液晶、医療機器、自動車・航空宇宙産業に欠かせない部品まで生産する「ものづくりの街」として知られています。高度な金属加工技術は世界のトップレベルであり、「メイド・イン・ツバメ」をブランド化して様々な製品を世界に発信しています。HUSKYはこのメイド・イン・ツバメにも認定され、世界中のカメラマンの機材を支えています。

for Professional ~プロに愛用され続けて~

 いまから正確に調べることはできませんが、日本のプロカメラマンの仕事道具としてはHUSKYの使用率が圧倒的に高いと感じています。おそらくHUSKYを見たことも触ったこともないという方はほとんどいないでしょう。逆に、一般の方がプロに撮影される場面を考えると、学生時代のクラスの集合写真、習い事の発表会、観光地での記念撮影、結婚式、七五三や成人式の家族写真など・・・おそらくどこかでHUSKYが使われていたと思います。そう考えると、もしかするとHUSKYを使って撮影されたことのない日本人もほとんどいないのかもしれません。

 もちろん人物撮影だけでなく、新聞や雑誌など報道の現場、広告やカタログ・通販サイトの商品撮影、メニューなどのフードやパッケージ撮影、スポーツやコンサート、建築撮影、動物、建築、風景などなど様々な分野で活躍するカメラマンがいますので、HUSKYを使って撮影された写真や画像を見たことがない人は(確認する手段はありませんが)間違いなくいないでしょう。

 なぜこれほどプロの使用率が高いのか。もちろん優れた設計による撮影時の安定性、雲台の操作性保持力はもとより、撮影不能になることが許されないプロの現場では少々のことでは壊れない堅牢性に優れていることは絶対条件です。また前述の通り、トヨ商事によってより良い製品へとアップデートされ続けた信頼性、さらに全ての部品が供給され、オーバーホールも可能というサービス体制がもたらす安心感も大きな要素です。アルミ合金製の三脚としては非常に軽量で、ストラップが標準装備されているという携帯性も特徴です。そして各部品の設計図面を詳細に読み解くと、耐久性を非常に重視していることがよくわかります。プロの使用頻度で10年使い続けても部品の摩耗や傷みが驚くほど少ない個体が多いことは、自社で修理を行っていると実感することができます。

 そもそも三脚はカメラ機材を保持し、イメージ通りの構図で撮影するための道具ですから、使い方を考えながら使用するものではありません。設置したい場所に機材を据え、意識して操作しなくても思い通りに動き、狙ったところで確実に静止して撮影し、スムーズな撤収まで完全に使いこなすには「慣れ」の要素が大きいかもしれません。様々な基本性能の優れている道具だからこそ、長く使い続けることで撮影者の手足の延長のように馴染んできます。HUSKYが歴代のプロカメラマンたちに選ばれ、使い続けられてきたことには確かな理由があるのです。